乳歯遺残
乳歯が抜けずに残っている事を乳歯遺残(にゅうしいざん)と言います。
犬や猫では、3〜4か月齢から乳歯が抜け始め、全ての永久歯は6〜7ヶ月齢でほぼ萌出(歯が生える事)を完了します。7ヶ月齢を経過し、永久歯が萌出しているのに乳歯もしっかりと残っている場合、その後に乳歯が自然に抜ける可能性は低く、抜歯が適応となります。
犬における乳歯遺残のほとんどは、犬歯や切歯(前歯)の乳歯にみられます。
乳歯遺残は不正咬合(噛み合わせが悪い事)をまねき、口内炎の原因となります。また、歯垢・歯石が沈着しやすくなり、将来歯周炎を起しやすくなります。
治療は外科的に乳歯抜歯を行います。全身麻酔下で、乳歯を歯根から完全に除去します。永久犬歯に不正咬合がある場合、同時に矯正を行う事もあります(永久犬歯の矯正は7〜8か月齢までが理想ですが、遅くとも10〜11か月齢までにと言われています)。
術後しばらくは、歯ブラシを使ったデンタルケア、硬いガムならびに硬いオモチャは控えてもらいますが、多くの場合、いつもと同じようにご飯を食べることが出来ます。
抜歯部位が治癒し、歯周病のリスクが減少すれば、予後は良好です。
- 見た目の歯並びを良くする事が、抜歯や矯正の目的ではありません。噛み合せを良くする事で、ご飯が食べやすく、歯のケアがしやすく、そして歯に隣接する舌や口唇を傷つけないようにする事が目的です。